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折り紙で正七角形を折ろう‼

折り紙で三次方程式を解き、正七角形を作図できる理由を数学的に考える

以下はWORD58号に寄稿した記事になります。

はじめに

初めまして、情報科学類1年のふわぷわと申します。

さて、今回が初めての記事ということで、私が筑波大学を選んだきっかけである折り紙について1の記事を書きたいと思います。

折り紙の形

折り紙と聞いて最初に頭に思い浮かべたのは正方形の紙だと思います。 実は作品によっては扱う紙が長方形2や正六角形だったりなど、様々な場合があります。

ですが、正六角形の紙やそのほかの(正方形を除く)正多角形の紙はあまり見かけることはありません。そんな時は正方形の紙から切り出す必要があります。

正三角形や正六角形は、定規とコンパスで容易に作図する方法が思いつくと思います。少し複雑ですが、正五角形も切り出せなくはないでしょう。 しかし、正七角形ではどうでしょうか?

正多角形の作図可能性

正七角形というのは、定規とコンパスによって作図できない最小の正多角形であるというのはご存じでしょうか。 これは、直線と円の作図により表せる長さが、二次方程式を繰り返し解いて得られる範囲でしか表せないからです。

詳しくは次の章で説明しますが、一辺の長さを作図により求める過程で何次の方程式を解く必要があるのかが、正多角形によって異なります。

定規とコンパスによる作図

円と直線による作図が二次の解までしか表せないことを簡単に説明します。座標平面上の任意の2点 A(a,b),B(c,d)A(a,b), B(c,d)(a≠ca \ne c かつ b≠db \ne d)を取ります。

点 AA を中心として点 BB が円周上にあるような円の方程式は次のようになります。

(x−a)2+(y−b)2=(c−a)2+(d−b)2(1)(x-a)^2+(y-b)^2=(c-a)^2+(d-b)^2 \tag{1}

また、2点 A(a,b)A(a,b) と B(c,d)B(c,d) を通る直線は次のようになり、これらの操作の繰り返しは、高々二次の連立方程式の解を求める操作であるといえます。

(d−b)(x−a)=(c−a)(y−b)(2)(d-b)(x-a)=(c-a)(y-b) \tag{2}

これにより、定規とコンパスによってあらわせる長さは、二次以下の方程式の解となるものに絞られます。

折り紙による作図

なぜ折り紙には三次方程式が解けるのでしょうか。

これは次に示すような折り方に秘密があります。折り紙上のある点を、その点を通らないある直線上の点に重ねるというものです。この操作を直線上の複数の点に対して繰り返し行うことで得られる折り筋が、次の図です。

気づいた方もいるかもしれませんが、これはまさに焦点と準線による放物線の定義そのものです。そして、これらの折り筋は放物線の接線であったことがわかります。

折り図に現れる放物線

折り図に現れる放物線

さて、最初の問いに戻ります。なぜ折り紙で三次方程式が解けるのか、そしてその方法を示します。

まず、次の図のような折り紙の角のような二次元平面を考えます。点 AA と点 BB を折り紙のふちの上にとり、さらに直線 ℓ\ell と直線 mm を折り紙のふちと平行になるように折り紙の面上に引きます。

折り紙の角の拡大図

折り紙の角の拡大図

この図における点 A,BA,B と直線 ℓ,m\ell,m に対して、点 AA を直線 ℓ\ell 上に合わせるのと同時に点 BB を直線 mm 上に合わせて折るという操作を行います。

この時つけられた折り筋は、点 AA を焦点、ℓ\ell を準線にもつ放物線の接線であると同時に、点 BB を焦点、mm を準線にもつ放物線の接線でもあることがわかります。したがって、この時折り筋はただ一つに定まります。

ここで、座標軸がそれぞれ二つの放物線に接するように置きます。次に点 A,BA,B の座標を (a,b),(c,d)(a,b),(c,d) とします。

共通接線による折り筋

共通接線による折り筋

この時、点 A,BA,B を焦点とする放物線の方程式はそれぞれ以下のようになります。

y=(x−b)24a(焦点 A(a,b), 準線 y=−a)(3)y=\frac{(x-b)^2}{4a} \qquad (\text{焦点 } A(a,b),\ \text{準線 } y=-a) \tag{3} x=(y−c)24d(焦点 B(c,d), 準線 x=−d)(4)x=\frac{(y-c)^2}{4d} \qquad (\text{焦点 } B(c,d),\ \text{準線 } x=-d) \tag{4}

そして共通接線を y=tx+sy=tx+s と置くとき、計算の過程は省略しますが3、ss と xx と yy を式から消去することで、以下の三次方程式が得られます。

at3+bt2+ct+d=0(5)at^3+bt^2+ct+d=0 \tag{5}

そして点 A,BA,B は任意に置いた点なので、任意の三次方程式が得られるわけです。ここで得られる解の一つは共通接線の傾きであり、これにより正多角形の作図に必要な特定の長さが得られます。

正七角形に現れる三次方程式

なぜコンパスと定規では正七角形が作図できないのかというと、一般に正 nn 角形を作図するには、cos⁡(2π/n)\cos(2\pi/n) を作図する必要があり、この cos⁡(2π/n)\cos(2\pi/n) を求める方程式が、正七角形の場合だと三次方程式を解く必要があるからです。

次の図で分かるように、2π/n2\pi/n の角度を得るためには cos⁡(2π/7)\cos(2\pi/7) の長さが必要ですね。

正七角形の場合

正七角形の場合

さて、ここから先は正七角形の場合に絞って考えていきたいと思います。

一辺の長さが1の正七角形に対して、3本の直線 ℓ,m,n\ell,m,n を引きます。これらは互いに平行な直線となり、nn と直線 BCBC のなす角は 2π/72\pi/7 となります。さらに mm と直線 DCDC のなす角は 4π/74\pi/7 で、ℓ\ell とのなす角 6π/76\pi/7 も得られます。

次に点 EE から ℓ,m\ell,m へ垂直に下した点をそれぞれ E′,E′′E',E''、点 DD から mm へ垂直に下した点を D′D'、点 CC から nn へ垂直に下した点を C′C' とします。

これより線分の長さを求めます。まず線分 BC′,CD′,DE′BC',CD',DE' は先ほど求めた角より、それぞれ以下の値をとります。

BC′=cos⁡(2π7),CD′=∣cos⁡(4π7)∣,DE′=∣cos⁡(6π7)∣(6)BC'=\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right),\qquad CD'=\left|\cos\left(\frac{4\pi}{7}\right)\right|,\qquad DE'=\left|\cos\left(\frac{6\pi}{7}\right)\right| \tag{6}

ここで図を見てみると、以下のような等式が成立していることがわかります。

12+cos⁡(2π7)+cos⁡(4π7)+cos⁡(6π7)=0(7)\frac{1}{2}+\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right)+\cos\left(\frac{4\pi}{7}\right)+\cos\left(\frac{6\pi}{7}\right)=0 \tag{7}

ここから式変形を行います。

12+cos⁡(2π7)+cos⁡(2⋅2π7)+cos⁡(3⋅2π7)=0(8)\frac{1}{2}+\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right)+\cos\left(2\cdot\frac{2\pi}{7}\right)+\cos\left(3\cdot\frac{2\pi}{7}\right)=0 \tag{8}

2倍角・3倍角の公式を用いて、

12+cos⁡(2π7)+(2cos⁡2(2π7)−1)+(4cos⁡3(2π7)−3cos⁡(2π7))=0(9)\frac{1}{2}+\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right)+\left(2\cos^2\left(\frac{2\pi}{7}\right)-1\right)+\left(4\cos^3\left(\frac{2\pi}{7}\right)-3\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right)\right)=0 \tag{9} 4cos⁡3(2π7)+2cos⁡2(2π7)−2cos⁡(2π7)−12=0(10)4\cos^3\left(\frac{2\pi}{7}\right)+2\cos^2\left(\frac{2\pi}{7}\right)-2\cos\left(\frac{2\pi}{7}\right)-\frac{1}{2}=0 \tag{10}

ここで、式の両辺を2倍して整理すると、2cos⁡(2π/7)2\cos(2\pi/7) が以下の三次方程式の解のうちの一つであることがわかります。

x3+x2−2x−1=0(11)x^3+x^2-2x-1=0 \tag{11}

正七角形での長さの関係式

正七角形での長さの関係式

この三次方程式こそ、正七角形が定規とコンパスには作図できず、折り紙には作図できる理由の核心部分です。

最後に、式 (11) の係数を式 (5) と比較して (a,b)=(1,1),(c,d)=(−2,−1)(a,b)=(1,1),(c,d)=(-2,-1) となることから、点 A(1,1),B(−2,−1)A(1,1),B(-2,-1) と置くことで、傾き 2cos⁡(2π/7)2\cos(2\pi/7) の折り筋が得られます。

図2より座標軸を追加

図2より座標軸を追加

実際の折り方

実際に折り方を載せようかと最初は思っていましたが、おそらく誰も折ることはないと思うのでやめます4。

正七角形

正七角形5

最後に

いかがでしたでしょうか?

私が今まで折ってきたのは芸術作品としての折り紙でしたが、折り紙も視点を変えて深掘りしていくと、このような数学の世界とも深くかかわっていることを知り、とても面白かったので記事にすることにしました。

この記事で折り紙の面白さを知ってもらえれば幸いです。

初めての記事執筆なので6、読みづらい箇所も多かったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考

Footnotes

  1. WORDにかけるほどのパソカタ技術をまだ身につけられませんでした。 ↩

  2. 紙でっぽうを新聞紙で作ったりしましたよね? ↩

  3. 高校数学の範囲なので暇な人は自分で導いてみてください。 ↩

  4. 私は正七角形の真に驚くべき折り方を発見したが、それを載せるにはこのWORDは狭すぎた。 ↩

  5. どこからかずれてしまったので、よく見ると不正確な正七角形ですね。 ↩

  6. 説明が厳密には間違っていたかもしれませんが、目をつむっておいてください。 ↩